📢 「代表取締役住所非表示制度」に思うこと
- 株式会社PlusTK

- 10月7日
- 読了時間: 4分

会社経営者の登記情報として「代表取締役の自宅住所」が見られる状態になっているのをご存知ですか?
検索すれば、家族と暮らすプライベートな住所が“全国公開”。
会社を設立した2019年には全く気にしていませんでしたが、結婚をして家族ができた今はこの現状に違和感を持ち始めました。
妻と過ごす家が、知らない人にも見られてしまう。
今回、引越しを機に「代表取締役住所非表示制度」を利用しようと法務局へ申請を行いました。
💡 制度の目的は素晴らしいです。
この制度は2024年10月から始まり、代表者のプライバシーと安全を守るために設けられた仕組みです。
非表示にしても、法務局や税務署などの公的機関には正式に住所が登録されており、何かを“隠す”ためではなく、「家族を守るため」の制度です。
法務局の申請窓口対応で担当者によって解釈が違い申請書類を何度も修正しました。
💬配達証明郵便の宛名に住所を載せないといけない
法人本店を確認するための「配達証明郵便」では、宛名欄に住所が全部表示されていないという理由で再提出を求められました。
郵便局に確認すると「宛名欄に住所表示することはできない仕様です」とのこと。(確かに宛名欄ですもんね)
制度と現場の運用の間で申請者が板挟みになる構図です。
そして極めつけは「そもそも非表示申請なんて必要なんですか?」という一言。
「じゃあ、あなたの家族の住所が全国公開されても平気なんですか?」と思わず心の中で叫びました。
💬 「僕的にはこの方がいい」
申請の添付書類として「法人税確定申告書 別表二の写し」を提出しました。
これは税務署に提出している会社の公式書類で、登記内容とも整合性が取れた十分な証明資料かつ、法務局のHPに掲載されている添付指定書類です。
ところが担当者からは、「これでもいいのですが、株主名簿の方が僕的にはいいですね」との一言。
たしかに、法務局のHPで株主名簿は添付書類の一例とされています。
ですが、それは「今回の添付資料ではダメ」という意味ではなく今回の書類も同様にHPに挙げられています。
そもそも株主名簿はどこかに提出する公的書類ではなく、社内で作成する任意資料です。
私は今回の書類もHPに掲載されている書類なので有効ですよね?と尋ねました。
すると返ってきたのは、
「僕的にはこの方がいいんですよね」
……。
理由になっていない。
公的手続きにおいて“僕的には”という言葉が出てくるとは思いませんでした。
結局やむなく株主名簿を作成し再提出。
しかし後日、提出時に別の担当者に尋ねると、
「前回提出された決算書の写しで全く問題ありません」
との回答。
あのやり取りは一体何だったのかと、正直、言葉を失いました。
⚖️ 「司法書士を通してくれた方が信用がある」
さらに「司法書士を通して申請してくれた方がいいですね」と言われました。
「司法書士の先生にお願いをしなくても自分で申請ができる制度ですよね?」と確認すると、
「できますが、先生を通してくれた方がこちらとしては信用があるので」
との返答。
制度上、本人申請が認められているのに「信用があるから」という曖昧な理由で専門家経由を促される。
これでは「誰のための制度なのか」「何を守るための手続きなのか」が見えなくなっています。
✍️ 感じたこと
この制度は“代表者を守るため”に作られたはず。
なのに現場では、形式や手順ばかりが優先され、
本当に守りたい人たちが申請で苦労しているのが現実です。
経営者だって、家族と共に暮らす一人の人間です。
「責任を負う立場」であることと、「プライベートを晒されて当然」というのはまったく別の話。
💭 「やましさから隠す」のではなく、「守るために隠す」。
そんな当たり前の選択が、もっとスムーズに、
そして誰もが納得できる形で実現できる制度であってほしい。
小さな会社の代表として、
家族を守りながら誠実に事業を続けていくために、
この制度が“人を守る制度”として正しく機能してほしいと心から思います。
🔖 補足
この投稿は「制度批判」ではなく、「制度本来の目的で正しく運用されてほしい」という願いを込めたものです。
申請を検討している方の参考にもなれば嬉しいです。



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